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強いリーダーシップを獲得する(営業編)

 

 

 こんにちは。伊庭正康です。「リーダーの求心力」が今回のテーマ。果たして、営業の現場でリーダーが、「このリーダーについてきたい」と部下に思ってもらう、つまり求心力を持つことは可能なのでしょうか?

 最短距離で目標を達成させる、部下の面倒をよく見る、ということだけでは不十分。最短距離で目標達成を考えないリーダー、部下の面倒を見ないリーダーがNGであることを考えるとわかりやすくなります。 それは、リーダーとして当然の役割なのです。

 私は、企業様から依頼を受け、営業マネジャー、リーダーのコーチングをやっています。この1年でも計200回のコーチングをやりました。そこで得た結論。それは、あることをやれば、営業の現場でリーダーが、「このリーダーについてきたい」と部下に思ってもらう、つまり求心力を持つことは可能だということ。さっそく、答えを示したいと思います。

Theyの観点で公憤をもつ

 私がリーダーシップ研修で紹介している、とっておきのセオリーを紹介しましょう。まず、リーダーになったら「誰のために頑張る人」なのか、そのポジションを明確にすることが重要だと解説しています。その時に整理しやすいのが次の4つの視点。「I(自分のため)」「You(部下のため)」「We(会社のため)」「They(困っている誰か)」の視点から整理します。そして、影響力を持つためめの王道のセオリーは、たった1つ。「They」の視点で「自分を差し置いてでも何とかしたい」と思う(公憤)を持つことです。

 例えば、チームの目標のために頑張ろうは「I」。これは、チーム目標の達成はリーダーの責務です。部下の成長のためは「You」。部下はリーダーとの会話や仕事を通じて成長します。つまり、これも責務。会社のために頑張ろう、は「We」。とても必要な視点ですが、まだ足りません。そこで、Theyの視点が登場します。困っているお客様、まだサービスを知らずに困っている人、など「その”誰か”」の苦を取り除きたいと考えるリーダーに応援は集まります。

部下から拍手をもらった、人見知りの営業リーダー

 私の研修を受け、激変したある営業リーダーの紹介をしましょう。そのリーダーは求人広告を扱う会社の営業リーダーです。最初は「目標を達成させよう!」と部下を啓蒙していたのですが、なかなか部下にその思いは通じませんでした。声も小さく、目を見て話すことも苦手という彼にとっては、そのことが最大の悩みでした。

 そこで、研修を受けた彼は「They」の視点で公憤を探すことから始めました。すると、今までは気付かなかったジレンマを感じ始めたのです。今まで担当してきた会社に「後継者不足にために廃業していたケース」が数社あったことを思い出したのです。求人広告を扱う彼にとっては、気になるところです。そこで、彼は、後継者不足で悩む会社(お客様)に話を聞くことにしました。

 「そりゃ、会社をたたむのはツライ。安心して任せる人がいないなら、たたむしかない。
  人がいてくれたらイイのだけどね。もう、手遅れだ」

 そのセリフを聞いたことで、彼の公憤は一気に高まりました。なぜ、この気持ちに気付かなかったのだと・・。「もう、これ以上、この地域から廃業を出したくない。1件でも後継者不足で悩む人を少なくしたい」と誓います。そして、ミーティングで彼は部下にお願いをしました。

 「これ以上、後継者不足を出したくない。申し訳ないのだが、今以上にお客様への電話を増やしてくれないか、そして足を運んで本当の悩みを聞いてほしい。どうか、力を貸してください。お願いします」と。すると、一瞬の沈黙の後、部下達か拍手がおこったのでした。そのチームは、快進撃を遂げることになったのです。

 

 さて、まとめましょう。営業の現場でリーダーが、「このリーダーについてきたい」と部下に思ってもらう、つまり求心力を持つことは可能です。そのためには、Theyの視点で公憤を持つことが不可欠。そのためにも、Theyが抱える不(不満、不安、不便)に関心を持ち、実際に見て、聞くことが肝心。「1本でも多く電話をかけよう」と指示するリーダーの姿に、部下は意味、意義を見出すことになるでしょう。リーダーは公憤を持たねば務まりません。その公憤の種は現場に隠れています。この記事が参考になれば幸いです。

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