メンタル研修で注目される「ストレスコーピング」理論とは
こんにちは。ストレスコーピングのコーチの伊庭正康です。日頃は、営業研修やリーダーシップ研修に加え、「ストレスコーピング研修」を通じてビシネスパーソンにコーピングのスキルを紹介しています。また、ビシネス書の執筆(「プレッシャーを味方にできる人 50の方法」「いい人をやめる本~素敵な大人になるためのレシピ」)を通じて、コーピングの実践法を紹介しています(学習書ではありません)。
私がストレス対処に強い関心を持った背景には、やはり営業時代のストレスフルな環境が起因しています。対人のストレス、目標のプレッシャー、雨の中でも傘をさしながら歩き続けるストレス…もちろん営業だけではなく、あらゆる職業にもストレスはつきものです。そこで、今回は、私が実施する「ストレスコーピング研修」で紹介するコーピングのポイントを紹介したいと思います。
従来の「メンタル研修」の不足を補うコーピング
今、多くの企業でメンタル研修は行われています。その成果もあり、超過労働管理、産業医の面談など、随分とメンタルに対する取り組みは随分と加速しました。しかし、メンタル疾患は増える一方です。なぜでしょうか。それは、いくら環境(外的要因)を整えても限界があるということです。1人1人のメンタルをしなやかにするスキル(内的要因)への強化も不可欠なのです。そこで、このコーピングが注目されています。
そもそも、ストレスとは
さて、まずターゲットとなる「ストレスの正体」を把握しておきましょう。下記の図をご覧ください。このように、ストレスとは、ある刺激(出来事)が加わり、「心の歪み」が起こっている”こころの状態”のことを指します。つまり、嫌な人、嫌な仕事、そのものはストレスではなく、ただの刺激にすぎないというわけです。ゆえに、ある人にとってはストレスのある出来事であっても、別の人にしてみるとストレスではない、ということがいおこります。まずは、ここをおさえておきましょう。
【Point】ストレスは、出来事ではなく、こころのゆがみ。
コーピングとは
コーピングとは、この「こころの歪み」を解消し、平静の状態(Well-Bing)の状態に戻すスキルを指します。決して、精神論や気合論ではなく、精神疾患を治療する際に用いる心理学「認知行動療法」をベースとした、グローバルスタンダードのスキルです。オリンピック選手をはじめ、女子プロゴルフ選手、Jリーガー等のトップアスリートや、ストレスフルな環境にあるビシネスパーソンでも導入されています。
具体的な方法としては、ストレスを感じた時、以下の4つ方法から適切なコーピングを選択します。
(1)物理的コーピング ・・・ 刺激を避ける。例えば、離れる、見えなくする等。
(2)評価に対するコーピング ・・・ 本人の考え方の癖(認知のゆがみ)を矯正する。
(3)反応に対するコーピング ・・・ 「感情反応」「身体反応」を鎮める。リラックス等。
(4)社会的コーピング ・・・ 第三者の手助けを借りる。相談する、話を聞いてもらう等。
どれが、良い悪いということは一切なく、その時に応じたコーピングを選択します。とはいえ、中でも「(2)評価に対するコーピング」を覚えると不要なストレスを感じることが随分と減ります。そこで、評価に対するコーピングの進め方を紹介します。
認知のゆがみのパターン
私が講師をする「ストレスコーピング研修」では、2つのステップで進行します。
(1)評価に対するコーピングは、自身の考え方の癖(認知のゆがみ)を把握する
(2)セルフトークを持っておく
この2つのステップで、評価に対するコーピングを行います。
次をご覧ください。コーピングインステュートが提唱するストレスのパターン(認知のゆがみ)です。例えば、コンビニのレジで長蛇の列に遭遇したら、どうでしょう。人によってはイライラしますが、ある人はクヨクヨしてしまうわけです。おおよそ、ストレスをためるパターンは1人1人に傾向があります。研修では、セルフチェックをおこなうのですが、今回はご自身であてはまりそうなパターンを推定してみてください。まずは、この傾向を知ることが、評価に対するコーピングの第一歩です。
※参考※
私の研修の映像です。「認知のゆがみ」を紹介しています。
セルフトーク法
評価に対するコーピングの次のステップは、セルフトーク。セルフトークとは、心の中でつぶやく独り言のことを言い、コーピングでは「別の見方を冷静に見る」ためにセルフトークを使います。例えば、イライラ型の場合、スグにメールを返信しない人に対して「失礼なやつだ」と思うかもしれません。そこで、「忙しいのだろう」「返信しないという選択もある」といったよう、別の見方からセルフトークをつぶやくことで、自分の考え方だけが正解ではないことを冷静に判断します。各タイプごとに下記にセルフトーク例を紹介しておきます。
まとめます。もし、ストレスを感じたとしたら、それは「人」や「出来事」に問題があるわけではないということ。ぜひ、メンタルタフネスへの第一歩は評価に対するコーピングのスキルを習得することです。ぜひ、コーピングを日常で取り入れてみてはいかがでしょうか。
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